土曜日午後3時〜5時 ¥1000(珈琲付き)

第12回「多言語を話す人のアタマのなかはどうなっているの?」

2010年3月27日(土) 

講師/ロドリゲス・サンティアゴさん 

神戸市立外国語大学非常勤講師
 
 1997年、ある研究者たちは、英語を母語(アメリカ合衆国)とする話者と日本語を母語とする話者の概念の感知を調べる実験を行った。頭の中で数えられる物(具体的な物)と数えられない物(塊や液体など、例えば砂や水)をどのように区別するのか、などが調べられた。その結果、英語の話者は概念を「形」によって感知し、日本語の話者は「材料」によって感知していることがわかった。また後年、別の研究者はMultilingual(多言語使用者)の場合を調べてみると、日本語の母語話者で英語を第2言語とする者のデータと日本語のみの者のデータを比べたら、Multilingualは、日本語のみの話者と英語のみの話者とも異なっていた。この結果、Multilingualはネイティブとは違う状態で、頭の中で言語がお互いに影響していることがわかったのである。
2010年、スペイン語を母語とするサンティアゴさんは、この効果を確認するために、同じようにスペイン語を第2言語にする日本語の話者の場合を実験し、より深く調べてみた。
その結果は、はたして、どうだったのだろうか? 
概念の感知の有り様が異なっているのであれば、これからの国際協調社会において、それを上手に利用して相互の文化理解を進めていくうえで、他言語を話す人の存在は貴重なものとなるにちがいない。

ロドリゲス・サンティアゴさん
1978年、スペイン・マドリード生まれ。2002年、マドリード・コンプルテンセ大学外国語学部卒。2008年、神戸市立外国語大学修了、現在、大学院博士課程に在籍中。

第11回「近代スポーツとせめぎあう日本人の身体感覚」

2009年12月23日(水・祝)

講師/平尾 剛さん 

(神戸親和女子大学助教 スポーツ教育、身体論)

 かつて日本人は、右左右左と相互に手足を繰り出す走り方をしていなかったことをご存知だろうか。幕末に輸入された西欧式軍隊歩行に慣れないで、四苦八苦した下級武士や農民たちは訓練によってそれを獲得した。
 以来、150年余、日本は近代スポーツの百貨店ともいうべき、ありとあらゆるスポーツを受容し、国際ルールに準拠しながら、欧米のスポーツ科学をキャッチアップし、世界と戦ってきた。しかしながら、身体能力、身体技法の差異はいかんともしがたく、まだまだ多くのスポーツで世界のトップレベルには達していない。
 明治時代以降にスポーツに触れた日本人は、いまだに身体運動を深くは理解していない。スポーツ界では、生理学や物理学という分野の中で理解された「身体観」が無反省的に大手を振って歩いている。それっておかしくないだろうか? ラグビーを主に培ってきた身体感覚をスポーツ教育という現場で身体論の実践と理論構築に生かすべく、日々、苦闘する平尾氏の生々しいリアルな身体観を語っていただく。

平尾 剛 

1975年、大阪府生まれ。1998年、同志社大学商学部卒、06年まで神戸製鋼ラグビー部に所属、2008年、神戸親和女子大学大学院修士課程教育学専攻修了。中学から始めたラグビーで、日本代表に選ばれ(通算11キャップ)、1999年、第4回ワールドカップに参加。著書には『合気道とラグビーを貫くもの』(内田樹氏との共著、朝日新書)がある。現在、毎日新聞にてコラムを連載中(『平尾剛の身体観測』)。

第10回「2回目の神戸ビエンナーレ、その楽しみ方」

〜観てから聞くか、聞いてから観るか?

2009年10月31日(土)

講師/河崎晃一さん(兵庫県立美術館学芸員)

2年に一度のビエンナーレ。世界的にも、また日本的にも各地でトリエンナーレとともに耳なじみになってきたようだ。だとするなら、世界の地域ならではの特性を生かした背景と作品群がマッチングしなければ、その現代アートとしての独自性を発揮しようもいないことはあきらかだろう。
 今年、神戸では2回目となるビエンナーレ。今回は、我々にもなじみのある作家たちが、KOBEという借景をどのように生かしきったのか、お膝元の兵庫県立美術館の直接担当ではない、現代アートの目利きが、世界のトリエンナーレ、ビエンナーレとの比較検討も併せて、神戸ビエンナーレの核心をついた楽しみ方をお話しする。観てから聞くか、聞いてから観るか? いずれにしても、参考になるのは間違いない!

河崎晃一
1952年、芦屋市生まれ。74年、甲南大学経済学部卒業。染色家中野光雄氏に師事。80年より大阪、東京などで個展を開催。89年より芦屋市立美術博物館に勤務、学芸課長を経て、06年より兵庫県立美術館 常設展・コレクション収集管理グループリーダー。87年、第4回吉原治良賞美術コンクール展優秀賞、第18回現代日本美術展大原美術館賞93年、兵庫県芸術奨励賞など。著書(共著)に、『ミュージアム・マネージメント』(東京堂)「危機管理」執筆、『阪神間モダニズム』(淡交社)編纂、『中山岩太-Modern Photography』監修(淡交社)など。

第9回「日中200年 支えあう近代」

2009年9月23日(水・祝)

講師/劉建輝さん 

(国際日本文化研究センター准教授)

日本の知識人の異文化体験は、近代化=欧米化中心に研究され語られてきたが、上海を中心としたアジア体験を軽んじてはいけない。それは、日本人のアイデンティティや想像力の発展に貢献していた。また、旧満州での体験の影響は、政治経済分野を除いてはまだまだ調査・研究されつくしてはいない。旧植民地など外部からの逆照射に よって、近代日本の客観的把握がすすむものだと思われる。

劉建輝
中国・審陽生まれ。1982年、遼寧大学外国語学部日本語科卒。91年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了、同年、中国・南海大学日本語言文学科助教授、95年、 北京大学比較文学・比較文化研究所助教授を経て、99年より、現職。専攻及び研究テーマ:日中比較文学、近代日中文科交渉史 著書に、『帰朝者荷風』(明治書院)、『魔都上海 日本知識人の近代体験』(講談社)など。

第8回「『ドン・キホーテ』に託されたドン・キホーテの狂気をめぐって」

2009年8月29日(土) 

講師:田尻陽一さん

(関西外国語大学教授・スペイン演劇専攻)

「あの人は狂っている」というのは、自分がまともだと思うから。しかし、わたしたちの生きている世界は本当にまともなのか。いまの日本にまともな人はいるのか。いまの日本はまともな社会なのか。平和と戦争はいつまでも考えていたいテーマだ。『ドン・キホーテ』という作品を分析しながら、狂気の構造について考えてみたい。ところで、主人公のドン・キホーテは作中で、自ら「狂乱状態に陥った男を演じるつもりだ」と言っている。この「演じる」という劇的為はどういう意味なのか。人間関係における「演じる」という行為にまでひろげ、いろいろと考えていきたい。

第7回「芸術はいつから神になってしまったのか?」

2009年7月18日(土)

講師:松宮秀治さん 

ドイツ文学者(元立命館大学教授)

西欧近代の芸術思想に無意識のうちにおかされている私たち。芸術神学にまで成り上がった芸術を相対化し、特殊ヨーロッパの現象であった芸術を思い上がらせ、逸脱させ、暴走化の方向に導いたことを自覚し、虚心に作品をもっと等身大に見ることで、作品の価値を見い出す新たな評価体系の手がかりをさぐってみたい。

松宮秀治
1941年生まれ。福島県育ち。早稲田大学第一文学部、同大学院博士課程修了。  
立命館大学教授。2006年、定年退職後、著述に専念する。
著書に『ミュージアムの思想』(白水社)、『芸術崇拝の思想』(白水社)など。

第6回「ラテンアメリカのコーヒーと国家形成」

2009年6月20日(土) 

講師:小澤卓也

立命館大他、非常勤講師、文学博士
専門:ラテンアメリカ近現代史

ベネズエラのチャベス大統領を筆頭に、ブッシュ政権時から反米・嫌米・非米に雪崩を打っているかの中南米諸国。国民国家形成と輸出作物コーヒーの世界制覇とは切っても切れない関係であった。ラテンアメリカから世界を見れば?

第5回「責任ある輿論ヨロンと付和雷同の世論セロン、あなたは?」

2009年5月23日(土)

講師:佐藤卓己

京都大学大学院准教授 
京都大学文学部卒。文学博士。東京大学助手、同志社大学・国際日本文化センター助教授を経て、現職。専攻:メディア論、大衆文化論

戦後、次第に輿論=公的意見=は消えて、世論=世間の空気=が支配するようになっ
てしまった政治・言論の世界。とりわけ21世紀に入ってからというもの、世論調査
(人気調査)に政治が右往左往するようになってきた。小泉劇場しかり、鈴木宗男問
題しかり、直近では民主党・小沢党首の秘書逮捕問題まで。はたして、メディアも含
めて、輿論の復興はなるのだろうか?

第4回 「マルクスが今、この日本に現れたなら」

2009年4月18日(土)

講師/石川康宏さん 

神戸女学院大学文学部教授 
京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。聖母女子短大などを経て、現職。専攻:経済学

ソ連崩壊から20年。マルクスは過去の思想家とばかりに葬り去られてきました。大学でマルクス経済学など、教えているところは皆無といっていいでしょう。しかし、単一の価値観が支配してしまった世界経済は今、処方箋すら手探りの状態です。自己増殖する資本主義下において、世界を理解するマルクスの方法をあらためて、今読み返してみませんか? 

定員に達しましたので、募集は締め切りました。

第3回 「経済危機のなか、こころしておきたいもの」

2009年3月21日(土)

講師/勝本華蓮(かつもとかれん)さん 

尼僧 
天台宗典編纂所研究員。東方学院講師(09年4月〜)。京都大学大学院文献文化学博士課程修了。叡山学院、花園大学にて講師。専攻:インド仏教学、パーリ学 

気鋭のクリエイティブディレクターから転身、出家。釈迦の教えを原点に、ブッディストとしてスリランカと日本を行き来しながら、経済状況が悪化していき縮小する市場経済の今だからこそ、貧富にとらわれない考え方や、「自灯明」(自身にて深く考える)が大事になるのではないでしょうか。